鏡を見た時、「昔は卵型だった輪郭が、四角くなってきた」「頬の位置が下がって、口元に肉が乗っている(ブルドッグ顔)」と感じることはありませんか?
40代以降のこうした「頬のたるみ」は、メイクやハイフ(HIFU)だけでは改善が難しく、美容医療を検討する最大のきっかけとなります。
そこで多くの人が迷うのが、即効性のある「糸リフト(スレッドリフト)」にするか、根本治療である「再生医療(PRP・幹細胞)」にするか、という選択です。 「とにかく引き上げたいなら糸でしょ?」と思われがちですが、実は肌質によっては糸リフトが逆効果になることをご存じでしょうか。
この記事では、頬のたるみ治療における「糸リフト」と「再生医療」の決定的な違いと、あなたがどちらを選ぶかについて、徹底比較します。

頬のたるみ治療における「糸リフト」と「再生医療」の違いとは?
頬のたるみやブルドッグ顔を解消しようとしたとき、美容クリニックのサイトでよく目にするのが「糸リフト」と「再生医療」です。どちらも若返りの手段ですが、実はアプローチの方法は異なります。
失敗しない選択をするために、まずはそれぞれの根本的な仕組みを理解しましょう。
糸リフト(スレッドリフト)の仕組み:物理的に引き上げる
糸リフトは、コグ(トゲ)のついた特殊な糸を皮下に挿入し、下垂してしまった脂肪や皮膚を物理的に元の位置に戻す治療です。
イメージとしては、テントで例えるなら、「たるんで下がってきたテントの屋根を、ロープを使ってグイッと高い位置に引っ張り上げ、ピンと張らせる」ようなものです。 テントの生地(皮膚)自体は古いままでも、ロープ(糸)の力で物理的に位置を引き上げるため、施術直後から見た目の形状がシャープに変化するのが特徴です。

再生医療(幹細胞・PRP)の仕組み:皮膚組織を再生・収縮させる
一方、再生医療(PRP皮膚再生療法や線維芽細胞移植など)は、老化によって薄く伸びてしまった皮膚そのものを修復する治療です。
テントで例えるなら、「ペラペラに伸びきってしまったテントの生地そのものを、分厚く弾力のある新品の生地に作り直す」ようなものです。 ロープで引っ張るのではなく、生地(皮膚)自体が密度を取り戻してギュッと縮まる(収縮する)ことで、結果としてたるみが解消され、パンとした張りが戻ります。

どっちがおすすめ?糸リフトと再生医療の効果・持続期間を徹底比較
「結局、私にはどっちがいいの?」と迷う方のために、効果の現れ方や持続期間、ダウンタイムなどの違いを比較表にまとめました。
【比較表】即効性の糸リフト vs 根本治療の再生医療
| 比較項目 | 糸リフト(スレッドリフト) | 再生医療(PRP・幹細胞など) |
| 最大のメリット | 即効性 (施術直後に輪郭が変わる) | 自然さ・根本治療 (肌質も若返る) |
| アプローチ | 脂肪の移動(Lift up) | 皮膚の収縮・引き締め(Tightening) |
| 持続期間 | 半年〜2年 (糸の種類による) | 3年〜半永久的 (細胞の寿命による) |
| ダウンタイム | 数日〜1週間 (腫れ、引きつれ、内出血) | ほぼなし〜数日 (注入箇所のわずかな腫れ) |
| 不向きな人 | 皮膚が極端に薄い人 脂肪が重すぎる人 | 今すぐ劇的な変化 (Vライン)が欲しい人 |
| 費用イメージ | 安価なものもあるが、定期的なメンテナンスが必要 | 初期費用は高いが、長期的な資産になる |
糸リフトが向いている人の特徴
糸リフトは「物理的な移動」を得意とするため、以下のようなタイプの方に適しています。
- 頬の脂肪が多く、重みで垂れ下がっている人
- 来週のイベントに間に合わせたいなど、即効性を重視する人
- 肌のハリ感よりも、とにかく「Vラインの形」を整えたい人
- 1~2年に1回のペースで、定期的なメンテナンスに通える人
再生医療が向いている人の特徴
再生医療は「皮膚の若返り・収縮」を得意とするため、以下のようなタイプの方に適しています。
- 皮膚が薄く、頬をつまむと柔らかく伸びてしまう人
- 「顔が変わった?」とバレずに、自然な変化で若返りたい人
- 顔の中に異物(糸)を入れることに抵抗がある人
- 一度の治療で、数年単位の長期間効果を持続させたい人
意外な落とし穴?「マッサージ」などの生活習慣で選ぶ
治療法を選ぶ際、意外と見落としがちなのが「術後のマッサージ」についての制限です。特に、日頃から小顔マッサージや美顔器でのケアを習慣にしている方は注意が必要です。

糸リフト後は、当面「強めのマッサージ」はNG
最新の糸リフトは柔軟性が高く馴染みやすい素材(PCLなど)が増えていますが、それでも「組織にフックを引っ掛けている」という構造は変わりません。
そのため、グイグイ押すような強いマッサージや、顔の骨を押す施術(コルギなど)を行うと、糸がズレたり、フックが外れたりして効果が半減してしまう可能性があります。 多くのクリニックでは、「術後1ヶ月程度はマッサージ不可」としており、その後も強い摩擦は避けるよう指導されます。
「マッサージを止めると老ける」は誤解?
ここで多くの方が心配されるのが、「マッサージができないと、余計に顔がたるむのでは?」という点です。
しかし、近年の美容医療の常識では、「自己流の強いマッサージこそが、たるみの原因になる」と言われています。
顔の皮膚と骨をつなぐ靭帯(リガメント)は、マッサージで強く引っ張られるとゴムのように伸びてしまい、将来的な下垂につながります。
また、摩擦は肝斑(かんぱん)の原因にもなります。
つまり、「糸リフトのために強いマッサージを止めること」は、実は肌にとってプラスになる(将来のたるみを防ぐ)可能性が高いのです。
それでも「セルフケア」を楽しみたいなら再生医療
とはいえ、「自分でお手入れできないのはストレス」「美顔器を使いたい」という方もいらっしゃるでしょう。 その場合は、再生医療が適しています。
再生医療は組織そのものを若返らせる治療であり、物理的な引っかかりはないため、術後のダウンタイム(数日)さえ過ぎれば、マッサージや美顔器の制限は一切ありません。
日々のスキンケアがより楽しくなるはずです。
ご自身のライフスタイルや性格に合わせて選ぶのも、後悔しないための重要なポイントです。
要注意!「糸リフトだけ」ではたるみが解決しないケースとは?
「たるみ=糸リフト」と考えがちですが、肌の状態によっては糸リフト単独では効果が出にくい、あるいは逆効果になってしまうケースがあります。特に40代以降の方に多いのが以下のパターンです。
皮膚が薄い・伸びきっている場合は「引きつれ」のリスクも
加齢により皮膚(真皮層)が薄くなり、ペラペラに伸びきっている状態で糸リフトを行うと、トラブルの原因になることがあります。
CHECK
チーズワイヤー現象: 柔らかい豆腐に細い針金を通しても支えられないのと同じで、組織が糸を保持できずに、糸が脂肪ごとズリ落ちてしまう現象です。
引きつれや凸凹: 皮膚が薄いため、糸のトゲやラインが表面に浮き出てしまったり、不自然なひきつれ(ディンプル)ができたりすることがあります。
このように、「土台(皮膚)」が弱っている状態で「柱(糸)」だけを立てようとしても、顔全体を支えきれない場合があるのです。
たるみ治療の結論?「再生医療×糸リフト」の併用がおすすめな理由
では、皮膚が薄くなってきている大人のたるみはどうすればよいのでしょうか。 現在、多くのクリニックで推奨されているのが、それぞれの弱点を補う「再生医療 × 糸リフト」のハイブリッド(併用)治療です。
「再生医療」で土台を強化し、「糸」でデザインする
この組み合わせが推奨される理由は、相乗効果が非常に高いからです。
- 土台の強化: まず再生医療で皮膚のコラーゲン密度を高め、厚みと弾力を取り戻します。
- 掛かりが良くなる: 丈夫になった皮膚組織に糸を通すことで、フックがガッチリと掛かり、引き上げ効果が最大化します。
- 持ちが良くなる: 組織が強いため糸がズレにくく、リフトアップ効果が長持ちします。
- 仕上がりが自然: 皮膚にハリがある状態で引き上げるため、不自然なヨレやシワができにくく、美しいフェイスラインになります。
「まずは再生医療で老化の進行を止め、土台を作ってから、仕上げに糸でデザインする」というのが、最も効率的で自然な若返りルートと言えるでしょう。

まとめ:自分の肌質(脂肪の重さ・皮膚の薄さ)に合わせた治療選びを
頬のたるみ治療において、糸リフトと再生医療はどちらも優れた治療法ですが、役割が異なります。
- 脂肪が重いなら「糸リフト」
- 皮膚が薄く伸びているなら「再生医療」
- その両方なら「併用」
まずはご自身の頬を触ってみて、脂肪の厚みや皮膚の伸び具合を確認してみてください。そして、クリニックのカウンセリングでは「私の皮膚の厚さで、糸だけで綺麗に上がりますか?」「再生医療など他の施術で引き締める必要はありますか?」と相談してみることをおすすめします。